「兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)は内陸の直下型地震で津波はなかった」と思っている方、多いのではないでしょうか?しかし、実は小さいながらも津波が発生していたのです。
直下型地震なのに、なぜ津波が発生していたのでしょうか?そして、どのくらいのの規模の津波だったのでしょうか?
阪神淡路大震災
阪神淡路大震災とは1995年1月7日午前5時46分に本州と淡路島の間を震源とする兵庫県南部地震(M7.2)によって引き起こされた災害を指します。
兵庫県南部地震
震源域
淡路島北部から神戸にかけて
観測された震度
震度6:神戸市中央区・洲本市
現地調査による震度
震度7:神戸市東灘区・灘区・中央区・兵庫区・長田区・須磨区、西宮市・芦屋市・宝塚市・津名町・北淡町・一宮町
震度6:神戸市垂水区・北区・西区、尼崎市、明石市、伊丹市、川西市、淡路町、東浦町、五色町
被害
主な被害
断層が真下を通っていた神戸市や淡路島などで甚大な被害が出ました。近代の大都市が震度7の揺れに襲われたのはこれが初めてで、兵庫県内だけで10万棟以上の建物が全壊する大惨事となりました。また高速道路が横倒しになったほか、鉄道の橋脚が各地で破損しました。しかし幸いなことに新幹線は始発前だったため大きな被害は免れました。さらに、各地で200件を超える火災が発生しました。当時は風が弱かったため延焼は最小限に抑えられましたが、それでも7,000棟近い建物が焼失しました。
死者・行方不明者
兵庫県を中心に相次いだ建物の倒壊と火災によって6,341人が死亡したほか、3人が行方不明のままとなりました。
実は津波が発生していた?
午前5時46分の地震発生からまもなくして、気象庁は津波の心配はないと発表しました。しかし、実際は小さな津波が発生していたのです。津波の高さは淡路島で約30cm、大阪で約20cmでした。気象庁は津波の発生を否定していますが、各地の検潮所では断層のずれから推測される波形と同じような波形が観測されていることから、津波の発生はほぼ間違いないと考えられます。
30cmの津波とは?
ここまで読んで、
「たかが30cmでしょ」
「30cmの津波なんかどうでもいい」
と思った方もいるのではないでしょうか?
しかし、その考えは間違っています。
普通の波が水面付近だけ動くのに対し、津波は水面から海底まですべての水が動きます。そのため普段の波とは全く威力が違います。
わずか10cm程度の津波であっても、人は足をすくわれる可能性があり、30cmに達すると子供は立っていることができなくなります。
兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で発生していた津波は実は危険な高さだったのです!
直下型地震なのになぜ津波が発生?
阪神淡路大震災を内陸の直下型地震と思っている方も多いと思います。しかし、実際には震源は明石海峡付近で震源域は淡路島から神戸や西宮付近にまで達しています。そのため活断層のずれが海底にも達し、津波を発生させたと考えられています。
まとめ
当時の日本は、まだ地震・津波の観測網が現在ほど高くなかったため、残されている記録もあいまいなものが多いですが、直下型地震でも津波が発生するということと、30cm程度の小さな津波でも、巻き込まれると極めて危険ということを覚えておいてください。