御嶽山噴火 “正常性バイアス”が奪った命

 

御嶽山 正常性バイアス

正常性バイアスとは?

正常性バイアスとは、無意識のうちに自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価してしまう人間の特性のことです。災害で犠牲になる人の多くがこの心理状態にあるとされています。

御嶽山噴火の“正常性バイアス”

今回は、2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火を紹介します。亡くなった人になぜ逃げなかったのか直接聞くことはできませんが、御嶽山の噴火では「正常性バイアス」と見られる行動が鮮明に浮かび上がる事態が起きていました。

御嶽山の噴火とは?

2014年9月27日、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が突然噴火しました。噴火警戒レベルは平常を示す「1」で(この噴火を教訓にレベル1は“平常”から“活火山であることに留意”に変更されました)、火口周辺への立ち入り規制などは行われていませんでした。さらに

・土曜日

・日帰り登山が可能

・紅葉シーズン真っ盛り

・天気がよかった

・お昼時

という条件が重なり、山頂付近には大勢の登山者がいました。結果として死者・行方不明者が63人に上り、戦後最悪の火山災害となってしまいました。

犠牲者が増えた理由

気象庁が、「火山性地震の増加」を一般登山者に分かりやすいように情報提供していなかったことが被害を拡大させた大きな要因と言われていますが、実はもう一つ「正常性バイアス」が被害を甚大にしたことも分かっています。

 

 まずはこちらをお読みください。

 

犠牲者が持っていたカメラ、携帯電話の中には噴火の様子を撮影した写真が多く残されていました。犠牲者の中には携帯電話を手にしたまま亡くなっていた人もいたということです。

 

この話を初めて聞いたという方が多いのではないでしょうか?信じられないかもしれませんが、犠牲者の中には、避難をせず、亡くなる直前まで写真をとっていた人がいたということです。

 

中には噴火から4分後に撮影した記録が残るカメラもありました。

 

そして、この人たちは、火口から弾道を描いて飛散する噴石ではなく、一度空高く舞い上がってから数分後に落下してきた噴石が直撃して亡くなりました。つまり、すぐに避難していればかなりの確率で助かっていたことになります。

なぜ逃げない?

 なぜ、逃げずに写真をとっていたのか?人は異常事態になると自分に都合の悪い情報を無意識のうちに無視し、「自分は大丈夫」と思い込むように出来ています。噴火の様子を撮影していた人の多くにこのような「自分には関係ない」という心理状態にあったと考えられています。

まとめ

この「自分は関係ない」「自分は大丈夫」という心理状態は決して他人事ではありません。あなたも“無意識”のうちにこのような心理状態になり、命を落とすこともありうるのです。

 

あなたが火山に登っている時(富士山も火山ですよ)、少しでも異変があれば、迷わず避難をしてください。災害時に「写真を撮ろう」「動画を撮ろう」なんて決して考えないでください。そのような考えを持った人たちが犠牲になっていることを忘れないでください。もし、周りに写真をとって逃げようとしない人がいれば、あなたが声をかけて一緒に避難をしてください。あなたの考え方一つで自分の命、周りの人の命を助けることができます!

 

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