韓国地下鉄火災 被害を拡大させた“正常性バイアス”とは?

2003年に韓国の地下鉄で放火事件がありまりました。この火災で200人近い人が犠牲になりましたが、この事件の犠牲者はとても不可解な亡くなり方をしていました。

 

これは決して人ごとではありません。もしかしたら明日、同じような場面に遭遇するかもしれません。

韓国地下鉄火災

大邱(テグ)地下鉄放火事件

2003年2月18日の朝、通勤ラッシュが一段落したころ、大邱(テグ)広域市営地下鉄1号線の中央路駅で男が車内にガソリンを撒いて火をつけ自殺を図りました。この火が車両全体に延焼し乗客192人が死亡する大惨事になりました。これが大邱(テグ)地下鉄放火事件です。

なぜ被害は拡大した? 

要因1:燃えやすい車両

1つ目の要因は車両側の欠陥です。この地下鉄は基本的には燃えにくい素材でできていましたが、一部には高温になると解ける性質がある物質も使われていて、これが火災を大規模にしたと言われています。

 要因2:防災管理能力の欠如

被害の拡大を決定づけたのが防災管理能力の欠如です。この地下鉄では火災報知器の誤作動が繰り返し起きていました。そのため司令センターは、この時の火災報知器の作動も確認なしで誤作動と決めつけ、運転中止の措置をとりませんでした。この対応の遅れによって、火災が起きている車両の横に対向列車(第1080列車)が停車しました。

 

そんな中、脱出してきた乗客が自ら消防に通報し火災が発覚します。火災発生から9分後、ようやく司令センターから第1080列車に避難命令が出されましたが、このころすでに火災は延焼していて、電気配線も焼けていたため、車両のドアは前の2両しか開きませんでした。運転士は司令センターからの指示で地下鉄を動かすために必要なマスコンキーを抜いて避難、結果として全てのドアが閉まり、避難できたのは1、2両目と、地下鉄職員が乗り合わせていて、手動でドアを開けることができた4両目だけでした。3両目と5、6両目の扉が開くことはありませんでした。

要因3:正常性バイアス

 

要因1と2は運行会社側の問題ですが、もう一つ犠牲者が増えた理由があります。それが正常性バイアスです。この事件は正常性バイアスの典型的な例として扱われます。

 

この時、多くの乗客が煙が充満している車内で、口や鼻を押さえたまま座っている状態の写真が残されています。

 

なぜ火災が起きているのに逃げようともせず、座っていたのでしょうか?

 

実は人はいつもと違うことが起きると、正しい判断ができなくなってしまいます。人は自分では対処法が見つけられない時、周りの人の行動に合わせます。どうすればいい川からない時、周りを見渡しますよね?あの状態です。

 

「まさか自分がそんな危険な状態に置かれているわけがない」「まだ誰も逃げてないから大丈夫」といった思い込みが避難を遅らせ、犠牲者192人という地下鉄火災史上2番目の惨事となりました。

まとめ

正常性バイアスは決して他人事ではありません。東日本大震災御嶽山の噴火、西日本豪雨でも同じような現象が見られています。

 

今「それでも、自分は大丈夫」「自分には関係ない」と思った人、それが正常性バイアスです!

 

いかがだったでしょうか?正常性バイアスは自分では気づくことができません。だからこそ、危険を感じたらあなたが率先して避難をしてください。そうすれば周りの人もあなたについてきて、みんなで避難することができます。