『長周期パルス』一撃で高層ビルを破壊する危険な揺れ

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2016年4月に発生した熊本地震。実は直下型地震としては極めて珍しい揺れが観測されていました。長周期パルスです。

 

 この“長周期パルス” とは一体なんなのでしょうか?普通の地震の揺れとの違いから発生する条件まで解説します。

長周期パルスとは何か?

キラーパルス

一般的な地震の揺れの周期は長くても2秒以下で、このうち1秒から2秒程度になると住宅の倒壊が急増すると言われています。阪神淡路大震災熊本地震でも1〜2秒程度の周期の揺れが特に強く建物の倒壊が相次ぎました。一方で震度7を観測した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)では周期が周期1〜2秒程度の揺れがほとんど発生しなかったため、地震の揺れによる建物の倒壊はそれほど多くありませんでした。

長周期パルス

2016年の熊本地震ではキラーパルスに加え、1発の大きな揺れが襲っていたことがわかっています。この揺れの周期は約3秒で、内陸の活断層で発生する地震では極めて珍しい長周期の揺れでした。先ほどのキラーパルスが一般住宅などの低い建物に大きな被害をもたらすのとは逆に、長周期パルスは高い建物を大きく揺らし、高層ビルに大きな被害をもたらします。

長周期地震動”と何が違うのか?

 それでは長周期パルスは長周期地震動と何が違うのでしょうか?この2つの揺れの最大の違いは「少しずつ大きくなる」のか「いきなり大きな揺れが来る」かの違いです。

長周期地震動

東京や大阪などでも長周期地震動を観測した2011年の東日本大震災では、小さな揺れから始まり次第に大きくゆっくりとした揺れに変わっていきました。このため、地震に気づいてから安全な場所に移動したり、身を隠す時間がありました。

長周期パルス

一方、長周期パルスでは長周期地震動が最も大きくなった時の揺れが揺れ始めてから数秒でいきなり襲ってきます。そのため、自身に気づいてからは身動きが取れず、命の危険にさらされることになります。

長周期パルスはなぜ発生するのか?

ここまで長周期パルスの特徴を見てきましたが、なぜ、このような特殊な揺れが発生するのでしょうか?長周期パルスが発生するのには条件があります。

 

それは断層が地表に現れることです。断層が地表に現れないような地震では、長周期パルスは発生しにくいとされています。

 

ではなぜ、断層が地表に現れると長周期パルスが発生するのでしょうか?

 

断層が地表に現れた瞬間、地面は数mの規模でずれ動きます。この数mの地面の動きが長周期パルスと呼ばれる特殊な揺れを引き起こしていたのです。

 

今、自分がいる場所が一瞬で数m動く状況を想像してみてください。過去には10m近くずれた例もあります。みなさんが普段考えている地震の揺れとは全く違う、この地面の動きが被害を甚大にする可能性があります。

まとめ

長周期パルスが注目されるようになったのはここ数年です。それはなぜか?数十年前のような高い建物がなかった時代では、このような長周期の揺れに備える必要がなかったからです。高層ビルが立ち並ぶいまの時代だからこそ備えなければいけない揺れなのです。

 

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