“まもなく大地震発生”大誤報から見えてきたパニックの正体

みなさんに質問です。

パニックってどんな時の起きると思いますか?

事件が起きた時、災害が起きた時、という答えが多いでしょうか?

 

近くで大きな事件が起きればパニックになるでしょう。

 

しかし、災害が発生した時にはパニックはそれほど起きません。行政などがパニックを恐れすぎてしまうあまり、パニックを過大評価してしまうために「災害=パニック」というイメージが定着してしまったのです。

 

実際にあった事例を紹介しながら、なぜパニックが発生するのかを解説します。

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“東海地震警戒宣言”大誤報

1981年10月31日午後9時過ぎ、神奈川県平塚市の防災無線から突然、このようなメッセージが流れました。

放送されたメッセージ

「市民の皆さん、私は市長の石川です。先ほど内閣総理大臣から大規模地震の警戒宣言が 発令されました。私の話を冷静に聞いてください。現在、本市では、警戒本部を設置して広報活動、いわゆるデマ対策や交通規制などの対策に全力を挙げております。市民の皆さ んもぜひ協力してください。何と言っても市民一人ひとりの冷静な行動がこれからの対策 の鍵となります。そこで、私から皆さんにぜひお願いしたいことがあります。第一は、ラ ジオ・テレビの放送や市の広報無線に注意して正確な情報を得ることです。そして、身の 周りの安全を確かめてください。第二は、地震で最も恐ろしいのは、火災による被害です。 火の使用を自粛してください。第三は、当座の飲料水、食料、医薬品などを確かめて、い つでも避難できるように準備してください。繰り返してお願いします。いろいろ不安はあ ろうかと思いますが、市としては、次々に情報をお送りしますので、皆さんあわてず冷静 に行動してください。」

市内の様子

この時、市内はどのような様子だったでしょうか?パニックになる?問い合わせが殺到する?いずれにせよ大騒ぎになることは間違いない…

 

しかし、実際にはほとんど何も起こりませんでした。そもそも警戒宣言の誤報が流れたことを知っていた人は全体の20%にとどまっていたのです。

 

ここまでは防災無線側の問題のようにも見えますが、最大の問題はここからです。なんと、警戒宣言を知った人のうち、この情報を信じたのはわずか3.9%しかいませんでした。

 

さらにこの3.9%のうち60%以上は警戒宣言を信じながらもなんの行動も取りませんでした。 

警戒宣言を信じなかった理由

ほとんどの人が警戒宣言を信じなかった最大の理由、それは「警戒宣言が出れば必ずパニックになる」と思い込んでいた市側が、簡潔で具体的な表現を使用せず、緊迫性が全くないメッセージを放送したことでした。パニックを恐れすぎた結果、パニックが発生なかっただけでなく、警戒宣言すら信じてもらえない事態に陥ったのです。

パニックはどんな時に起きるのか?

ではパニックはどんな時に起きるのでしょうか?

 

それは「パニックを恐れて情報を隠した時」です。1903年にアメリカの劇場で火災が発生しましたが、パニックを恐れた劇場側は「火災ではありません」という放送を流しました。しかし、実際に火災が発生していることに気づいた観客が「火事だ」と叫んだ途端、出口に観客が殺到しドミノだおしとなりました。この火災で602人が死亡しましたが、そのほとんどは他の観客に押しつぶされたことによる圧死でした。

まとめ

災害=パニックというのはマスコミが中心となって作り上げた神話に過ぎません。

 

パニックは「パニックを恐れて真実を隠した時」に起きるのです。

 

何が起きているかわからない、これが人々をパニックへと導いくのです。

 

 

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