台風8号が発生しました。今後、発達しながら日本に近くおそれがあります。しかし、台風情報の正しい見方を知らないと「台風8号は巨大化する」といったような間違った捉え方をしてしまいます。このような誤解をしないためにも台風情報の見方をしっかりと押さえておきましょう。
予報円は何を意味する?
予報円は指定された時間に台風の中心が円の中に入る確率が70%、外れる確率が30%であることを示した円です。
この円が小さければ小さいほど予測の誤差が少ないことを意味していて、円が大きいと予測が定まっていないことを表しています。
よく大きな予報円を見て「台風が巨大化する」「日本列島を飲み込むような予想だ」といった見当違いな捉え方をする人がいますが、
台風が大きくなるわけではありません!
予報円が大きいのは予測が難しいからであって、台風のサイズとは一切関係ありません。
ちなみに、この予報円は予測精度の向上に伴って、近年急速に小さくなっています。「以前に比べて予報円が小さくなったな」と感じている人も多いのではないでしょうか?
中心線は何を意味する?
台風情報の中心線に意味はありません。気象庁のホームページでは中心線は表示されません。(表示するように変更することもできます)
では、中心線にはどんな意味があるのでしょうか?これはマスコミなどが台風情報の地図を作成するときに円の中心が分からないと作図ができないので中心の場所を示しているだけです。
できれば、中心線を表示しない方がいいのですが、なぜか多くの報道機関は中心線を表示しています。そのことが誤解を招く原因にもなっています。さらに中には円よりも中心線を強調しているマスコミもあります。
各マスコミなどの台風情報を比較
※番組などによって、若干デザインが異なる場合があります。また、この図は2020年8月22日15時の予想ですので、最新の予想を確認するようにしてください。
気象庁
出典:気象庁「台風情報」
気象庁の台風情報は中心線が表示されておらず分かりやすくなっています。(中心線を表示するように変更することもできます)
NHK
NHKは数年前から中心線を表示するようになりました。予報円のほうが若干強調されているものの、誤解を招きやすい地図になっています。
日本テレビ
日本テレビは予報円が点線なのに対し、中心線が太い線で描かれていて、誤解を招きやすい表現になっています。また時間が中心を指していることも、台風が中心線に沿って通るという風に誤解されやすい要因になっています。
TBS
出典:TBS「お天気ガイド」
TBSは予報円を強調していますが、円の中心や中心線も同じく強調されているため、誤解を招きやすくなっています。特に何の意味もない「円の中心」をバツ印で表しているのがTBSの台風情報の特徴です。
テレ朝
テレ朝は番組によって少しずつ地図が違うものの、予報円と中心線をほとんど同じ線で表現ししています。ただ、「台風は必ずしも中心線を通るわけではありません。」などと、誤解を防止するための文言が表示されることもあります。
フジテレビ
フジテレビは予報円よりも中心線が強調されているのに加えて、時間が中心を指していて、台風が中心線に沿って通るという風に誤解を招きやすい表現になっています。
ウェザーニューズ
ウェザーニューズの台風情報は「意味のない中心線」が予報円よりもかなり強調されていて誤解を招きやすくなっています。
Yahoo! JAPAN
Yahoo! JAPANの台風情報は中心の点のみ表示されていて中心線は表示されていません。他のマスコミに比べれば誤解を招きにくい表現になっています。
日本気象協会
出典:日本気象協会「台風情報」
日本気象協会の台風情報は予報円のみの表示で、中心線は表示されていません。気象庁の台風情報と並んで、誤解されにくい地図になっています。
このようにほとんどのマスコミは知ってか知らずか中心線を誇張して誤解を招く表現をしています。それが原因で「台風は中心線を通る」と誤解している人も多いのではないでしょうか?
しかし、中心線に意味はありません!
まとめ
台風の中心が指定された時間に予報円のなかに入る確率が70%、台風が大きくなるわけではない、台風情報の中心線に意味はない、このことを頭に入れて台風情報を見るようにしてください。今の技術で台風のサイズ(強風域の直径)を予想することはできません。
繰り返しになりますが、
中心線に意味はありません!
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